誰しも……

週末……
三十年来の付き合いである後輩が、わざわざ沖縄にまで会いに来てくれました。
豪放快活であった彼ですが、何年か前からある障害を抱えその印象はガラリと変わりました。

それでもこの自分を慕ってくれて、この沖縄に足を運んでくれます。

若かったあの頃のように、久しぶりにゆっくり語りました。
障害を抱えてからは妻と子とも離れ独り暮らしにになった彼が、幾つかの県を越えて会いに行った時に涙ぐんだら
「泣くな」
と、娘さんに怒られたという話にはこちらも切なくなりました。

話し込んだ後にホテルの前までおくり別れ……

数十メートル歩いてから振り替えると、後輩はまだホテルの前で立ってこちらを見ていたのです。

自分が弟子に入った先の師匠が、どんなお客さんでも見えなくなるまで見送る方でした。
その師匠のもとを離れてこの後輩と出逢った時にも、師匠に習い我が家に遊びに来てくれた時には必ず見えなくなるまで見送っていたのです。

それを覚えてくれていたのでしょう。

振り返って
「もうホテルに入りな」と
手振りで示しましたが、頭を下げただけでまだジッと立っています。

少し胸が熱くなりました。

生きていれば様々ことはあります。
しかし生きてさえいれば必ず愉快なこともあるものです。

後輩にも何度もそういいながら、自らにも言い聞かせた晩でした。
それだけに切くなったのでしょう。

色々ありますよ。

それが当たり前なのです。